たのしい家三鷹牟礼 桜の下、歩幅を合わせて
「もう咲いてるかな」
その一言で、今日は少しだけ遠回りをすることになりました。
玄関を出ると、まだ少し冷たい風。
「寒いね」と笑いながら、ゆっくりと歩き出します。
いつもの道も、今日はどこか違って見えました。
歩きはじめは慎重で、何度か立ち止まりながら。
足元を確かめるように、一歩ずつ進んでいきます。
そのたびに、周りの景色にも自然と目が向いていきました。
「あ、つぼみだね」
「こっちはもう咲いてるよ」
小さな発見を重ねながら進んでいくうちに、目的の桜の木が見えてきます。
木の下に着くと、ふっと顔が上がり、
「きれいだね」と一言。
その瞬間、どこか張りつめていた空気がやわらぎ、
春の匂いがすっと広がったように感じました。
風に揺れる花びらを眺めながら、
「この時期になるとね……」と、ぽつり。
昔のお話や、懐かしい記憶が、ゆっくりと言葉になっていきます。
職員はただ隣でうなずきながら、その時間を一緒に過ごします。
帰り道は、不思議と行きよりも足取りが軽やかで、
「また来ようか」と自然に言葉がこぼれました。
――隣で歩いていたつもりが、
気づけば、私たちのほうが歩幅を合わせてもらっていたのかもしれません。
急いでいるつもりはなくても、
どこかで「早く」「効率よく」と考えてしまう日常。
そんな私たちの時間の流れを、そっとゆるめてくれるひとときでした。
たのしい家三鷹牟礼では、こうした何気ない時間を大切にしています。
特別なことをしなくても、同じ景色を見て、同じ風を感じるだけで、
一日は少し豊かになります。
今日もまた、少しだけ遠回りをしながら。
その人らしい一日を、一緒に歩いていきます。