たのしい家三鷹牟礼 花を手に、やわらぐ午後
母の日の午後、花束を手にした瞬間、ふっと場の空気が明るくなりました。
カーネーションのやわらかな色合いが目に入ると、それだけで気持ちが少しほどけるようです。
写真を撮るために花をお持ちいただくと、何が楽しいのかご本人も思わず笑いがこぼれ、止まらないご様子でした。
その笑顔は、花よりもずっと鮮やかで、周りまでやさしく巻き込んでいきました。
そのあとは、近所のむさしの森珈琲へ。
外出先へ向かう道のりは、いつもの景色でありながら、どこか少し特別です。
歩きながらも表情は明るく、時折あたりを見回される様子には、これから始まるおやつの時間への期待がにじんでいました。
店内では、席を待つあいだも落ち着かないというより、むしろ周囲を見ながら楽しんでおられるようでした。
きょろきょろと店内を眺め、ふと笑顔になる。
そのひとつひとつが、外で過ごす時間ならではの豊かさを感じさせます。
ご注文は珈琲とパンケーキ。
「苦いのはいや」とお話しされながらも、珈琲はしっかりと召し上がり、パンケーキは「美味しい」と言いながら、あっという間に完食されました。
甘いものを前にしたときの表情は、どこか素直で、子どものようでもあり、日常の中にある小さな楽しみをそのまま映しているようでした。
一方で、途中では「私なにも持ってきてないよ」「あなた名前は?」「お世話になります」と、何度かご心配される場面もありました。
慣れない外出先では、心が少し先走ることもあります。
それでも、声をかけるたびに少しずつ安心されたようで、穏やかな表情へと戻っていかれました。
人の気配や声かけが、その方の落ち着きにつながっていく様子が印象的でした。
ソファ席では、少し姿勢を保ちにくい場面もありましたが、職員の見守りや介助のもと、無理なく召し上がっていただくことができました。
外で食べるおやつは、味だけでなく、その場の空気や会話までも含めてひとつの時間になります。
その時間を、ゆったりと味わっていただけたように思います。
帰り道は、行きよりもさらに表情がやわらぎ、笑顔も多く見られました。
歩行にも大きな問題はなく、落ち着いて施設へ戻られました。
お茶を飲み、甘いものを味わい、花を手にして写真を撮る。
そんな何気ない流れの中に、母の日らしいあたたかさが静かに宿っていました。
母の日は、感謝を伝える日であると同時に、その方の歩んできた時間にそっと思いを寄せる日でもあります。
花を持つ姿、珈琲を飲む横顔、パンケーキを味わう表情。
どれも派手ではありませんが、だからこそ心に残る、やさしいひとときでした。
たのしい家三鷹牟礼では、これからも季節の行事や外出の機会を大切にしながら、その方らしい表情が自然に生まれる時間を重ねてまいります。
花とお茶と、少しの笑い声。
そんな穏やかな午後が、またひとつ、やさしい記憶として残っていきます。